東京ボブディラン/CONTENTS OF REPORT
BOB DYLAN & PHIL LESH and friends
2000年にポールサイモンと一緒に来日するという報道も一部では流れたが結局実現することはなかったので、来ないんだったら行くしかないと同年6月に西海岸へボブディランとフィルレッシュ&フレンズとのジョイントライヴを観に行く事になった。
今回は、東ボブバンドのメンバーであるN氏が先に仕事関係で西海岸へ渡っているから途中で合流して一緒に観に行く計画だ。
N氏がレンタカーを借りて行動しているおかげで、今までとは違い車でしかいけないような会場でのライヴを観ることが出来た。
6/29 Irvine、6/30 Ventura、7/1 Del Marの3公演観に行く予定だったが、7/1 Del Marの公演はキャンセルの確率が高く、IrvineとVenturaの2公演分のチケットしかゲットすることが出来なかった。
6月28日
いつもの如く韓空で午後に成田を出発し、6/28の午前中にL.Aに到着。
N氏とは夕方サンセット通りのギターセンターで待ち合わせていたので、バスを乗り継いでハリウッドまで行った。
待ち合わせまでレコード店めぐりなどをして何とか時間をつぶし、無事N氏と合流。
タワーレコードのチケットマスターで7/1 Del Marのチケットを購入しようとしたが、売ってなかったのでやはり中止されたのだなとここで確信した。
6月29日
LongBeach方面にあるIrvineのVerizon Wireless Amphitheaterは山の中にポツンとあるような野外ステージだった。
場所も凄いところだったが、もっと凄かったのがフィルレッシュを観に来ているデットヘッズたちだった。
広大な駐車場には、改造したワンボックスカーに犬を乗せたヘッズたちがTシャツや冷水を売ったり、タトゥーを入れる商売をしてたり、PAシステムを設置してライヴをやったりその他もろもろ混沌としたフリーマケット状態になっておりました。(もちろんいかがわしい匂いがそこら中に蔓延してましたが、、。)
野外だったのでリハの音がもれてたのだが、ヘッズたちの流す音にほとんどかき消されてよくは聞こえなかった。
入場するとメインステージへ行く途中にサブステージ(小さなもの)があり、そこでバンドが演奏していた。
ひと山登りきった所にある会場はロスのHOLLYWOOD BOWLに似ており、真ん中以降の席ではステージを見下ろす感じになり、わたしの席は真ん中よりかなり後ろであまりよくはなかった(約$48)。
フィルレッシュとジョイントなのでもしかしたら、テーパー席があったりするのかと探しては見たがやっぱりなかったようだった。
ステージ上にはディランバンド用の機材がセッティングされており、楽器担当のスタッフの中に今までに見たことがない東洋系の人がいるのを発見。
PM7:00(ポスターにはPM8:00となっていたが)ほぼ時間どおりに御大登場!
1. Duncan And Brady (acoustic)
2. That Lucky Old Sun (acoustic) (song by Haven Gillespie and Beasley
Smith)
3. Masters Of War (acoustic) (Charlie on Dobro)
4. Don't Think Twice, It's All Right (acoustic) (Bob on harp)
5. Tangled Up In Blue (acoustic)
6. Searching For A Soldier's Grave (acoustic) (Larry on Mandolin) (song
by Johnnie Wright, Jim Anglin and Jack Anglin)
7. Country Pie
8. Tell Me That It Isn't True
9. Down In The Flood
10. I Don't Believe You (She Acts Like We Never Have Met) (Bob on harp)
11. Drifter's Escape (Bob on harp)
12. Leopard-Skin Pill-Box Hat
(encore)
13. Things Have Changed
14. Like A Rolling Stone
15. Forever Young (acoustic)
16. Highway 61 Revisited
17. Blowin' In The Wind (acoustic)
昨年のツアーと同じくアコセットからのスタート。
軽快なリズムに乗ってトラッドナンバーの1.を歌い終えた後、機嫌よさそうに「さんきゅ〜」と高い声でいったかと思えばすぐに2.に突入。
いい感じのイントロを聞いただけでは何の曲かはわからなかったが、1番の途中で1986年に武道館で聞いたThat Lucky Old Sunだという事がわかった。
昨年のチャーリーが加入してすぐの時より、明らかにバンドはまとまった素晴しい演奏を聞かせており、7.以降のエレキセットでは意気揚々と若々しい演奏を繰り広げ、ちょっとびっくりしてしまった。
9.は97年来日公演時のアレンジとはまったく異なり、まるでドリフのズンドコ節の様なリフを取り入れていた。
また10.では出だしの部分の歌詞を忘れてしまう場面があったが、この曲は64年当時からライヴでは出だしの歌詞を忘れ、お客さんに教えてもらったりしていた。
つねに膨大な量の歌詞を記憶している超スーパー頭脳を持っている御大でも、忘れるツボの曲があるらしい。
4.や11.でみせたハープを吹きながらの動きは昨年以上に流暢かつハードになっており、思わず見てるあっしも顔がほころびてしまった。
13.は発売されてすぐの演奏だったので聴衆の反応はよく、14.以降はおなじみの曲が続いたが、この日の17.は2番で歌ったto the seaとto
be freeの歌い方が独特で、to be freeのところでは聴衆も声援で答える場面があったりと印象深いものとなった。
そして今回不可解だったのは、ステージ終了後になぜかメンバー皆さん棒立ち(片手を腰にあてる場面もあったが)になって客席をしばらく見つめそれから順番に退散して行くというものだった。
(今となってはフォーメーションとして有名になってはいるが、この時はなんだかよくわからなかった。)
御大もバンドも予想以上に素晴しく進化しており、正直いって驚かされてしまった。
△このページTOPに戻る
6月30日
昨日のIrvineからもっと北上したところにあるVenturaの County FairgroundsArenaは、大げさにいえば海岸にでかい競技場を作ったような会場で、チケットにはシート番号があったので野外でも昨日と同じように席があるのだろうと余裕をもって(昨日は早く着きすぎて時間をもてあましたので)結構遅く入場したのだが、客席である競技場内(というかただのデコボコの土の上)はオールスタンディングですでに前の方はかなり陣取られていた。
失敗した!と急ぎ足でステージ近くの様子を伺ったら、みなさんわりと広く場所を使っていたのですき間がポツン、ポツンとあったのでそこに入りステージ近くに行くことが出来た。
しかし、陣取るなんて言葉を使うのが恥ずかしいくらい、こちらの人はその辺に関してはおおらかで楽しむ事に本当に慣れてるなと実感した。
取り敢えず今日は近くで観れるぞとワクワクしながら全体を見回すと、何と、ヘッケルさんを発見!
失礼かとは思ったが、ここは憧れのヘッケルさんだけに思いきって声をかけて見た。
自己紹介の後にエル・レイシアターでお見かけした時の話などをしたら、気さくに応じてもらえ、ホッと一安心。
今回(も?)、ヘッケルさんはお一人で観に来られているそうで、「年だから、身体にこたえるよ」などと笑いながらおっしゃってました。
中止になった明日のDel Mar公演について訊ねてみたところ、以外にも公演は行われるはずだという答えだった。
チケットが売っていなかったから当然中止だと思い込んでいたのだが、ヘッケルさんが「さっき、BOBのマネージャーがそう言っていたよ」などと凄いことをおっしゃるのだから絶対間違いない。
その他いろんな話を聞かせていただき、いたく感動してしまった。
そうこうしている間に開演時間が近くなってきたのでN氏たちのところへ戻った。
ステージ上では、海風がビュー、ビュー吹き荒れて吊ってあるスピーカーが揺れていた。
今回出演順番は変わらないようである。
まだ暗くなる前にDYLANバンド登場!
1. Roving Gambler (acoustic)
2. To Ramona (acoustic) (Larry on Mandolin)
3. Desolation Row (acoustic)
4. This World Can't Stand Long (acoustic) (Larry on mandolin)
5. Tangled Up In Blue (acoustic)
6. The Ballad Of Frankie Lee And Judas Priest (acoustic)
7. Country Pie
8. Just Like Tom Thumb's Blues
9. Maggie's Farm
10. Tonight I'll Be Staying Here With You
11. Cold Irons Bound
12. Leopard-Skin Pill-Box Hat
(encore)
13. Things Have Changed
14. Like A Rolling Stone
15. The Times They Are A-Changin' (acoustic) (Bob on harp)
16. Rainy Day Women #12 & #35
ステージ上の御大は、吹きつける海風で髪の毛がオールバック状態になってしまい、1曲終わるごとに何度も髪を押さえつけていた。
オールバック状態はかなりお気に召さないらしく、ずっと気にしていた姿はまさに人間味あふれるプレイだった。(なんのこっちゃ、、。)
昨日のIrvine公演と同じ曲は、5.7.12.13.14.の5曲だけで、10曲以上は日替わりである。
しかも今回はオープニングの曲もラストの曲も違っていた。(やっぱり、こうでなくちゃ)
このツアーは、アルバムNASHVILLE SKYLINEとJHON WESLEY HARDINGからの曲が多く演奏されているのが特徴のようである。
個人的には3.を生で聞くのは初めてであり、海のそばで聞いているのにもかかわらず、すぐに混沌とした歌詞のバーチャルワールドへと引きずりこまれ、Desolation
Rowと何度も繰り返される言葉をきっかけに、まるで催眠術にかかってしまったようだった。
おそるべし、ボブマジック。
レアな6.に続く7. ではカントリー〜〜〜♪とのばしすぎてパイと歌うタイミングがいつもと違ったようで、トニーさんと目をあわせて笑う場面もあり、始終楽しそうだった。
かと思えばすぐその後に、素晴しい8. が演奏され、3.と同様にこれもまたボブワールドにどっぷり浸らせてもらった。
大好きな10. はやっぱりアメリカで聞くとひと味ちがって聞こえるのはアッシだけでしょうか?
11. は昨年とは違って、よりメリハリを聞かせたアレンジに仕上がっていた。
その他低音と高音を行ったり来たりしながら歌った15. など、今日は全般通してGOODなショーでした。
ステージに向かって右のスピーカーからは主にチャリ坊、左からはラリーさんのプレイが聞こえるように振ってあり、今日はラリーさんよりだったので、2.
や4. で見せたラリーさんの素晴しいマンドリンや、アコギでの繊細なプレイなどを堪能する事が出来た。
何度も言うようだがディラン&ネバーエンディング・ツアー・バンドは進化している。
すばらしいショーを観れただけでもしあわせだったが、今日はヘッケルさんとお話することが出来た事が本当にうれしかった。
過去にもどって中学生の俺に教えてあげたい気分だった。
ずっと、ディランファンで良かったとしみじみと思ってしまった。
ヘッケルさんのおかげで明日もライヴが観れることになったので、Del Mar方面へと向かった。
△このページTOPに戻る
7月1日
Venturaからずっと南下し、Irvineも通り越しDel Marへとたどり着いた。
ほとんどサンディエゴの近くらしい。
会場のFairgrounds Grandstandは、予想外にも巨大テーマパークの中にあり、駐車場に入るまでかなり混雑した。
テーマパークの入場チケットをまず買い($8.5)、コンサートを観る人は別にチケット($31.5)を買うシステムだった。
並ぶこともなく、当日券をゲットすることが出来ひと安心。
今日のチケットにはシート番号が書いてなかったので、野外立ち見と確定できたので昨日の教訓をいかし、すぐに会場へと向かった。
しかし、思った以上にテーマパークは広く様々なアトラクションがあり、たくさんの家族連れで賑わっており、20分くらいかかって会場へたどりつく。
まだ人はそんなにいなかったがすでに2列に並んでいたので、列に加わる。
ちょっとジャンプすればステージが見えそうなところだった。
日差しが強く結構しんどかったが、しばらくするとリハの音が聞こえてきたので気合いをいれる。
聞こえてきたのはUnder The Red Skyだったが、ディランは歌ってはいなかった。
チャリ坊とラリーさんがコーラスの練習がてら、どちらかが歌メロも歌って練習しているようである。
(リハ専用のヴォーカルとして東ボブを雇ってくれないかな〜。)
この会場だからリハにディランがいないのかどうかは定かではないが、いずれにしろリハでやる曲は音がもれてる可能性大なので6/29 Irvineの時もそうだったが、その日には演奏しないようである。
さすが、徹底した客サービス。(他に理由があるかもしれませんが。)
入場時間となり、ステージ近くの場所を確保できた。
ステージは地面から2メートルくらいの高さだったのであまり近すぎると逆に見えづらくなる。
ステージをよく見るとバックには黒いネット(?)のようなものがはってあり、外からは見えなくしているつもりかもしれないが、明らかに透けて外の様子が見えている。
しかも凄いことに、ちょうどステージ裏のアトラクションが逆バンジーのようなものだったので、人が空高く吊されては飛ばされる様子がはっきりとわかり、笑えてしかたなかった。
ステージがはじまってもこの逆バンジーは続くのだろうか?
などと思っているうちにDylan&Never Ending Tour Band登場!
1. Somebody Touched Me (acoustic)
2. Long Black Veil (acoustic) (Larry on mandolin)
3. Visions Of Johanna (acoustic)
4. Delia (acoustic)
5. Tangled Up In Blue (acoustic)
6. It's All Over Now, Baby Blue (acoustic)
7. Country Pie
8. Positively 4th Street
9. Down In The Flood
10. Tears Of Rage
11. The Wicked Messenger (Bob on harp)
12. Leopard-Skin Pill-Box Hat
(encore)
13. Things Have Changed
14. Like A Rolling Stone
15. Girl Of The North Country (acoustic)
16. Rainy Day Women #12 & #35
今日もいきなり前2回公演とは違う1.から始まったかと思いきや、何とそれから2.〜4. へと怒濤の名曲オンパレードが続いたのには圧倒されっぱなしだった。
特にBlond ON Blondの中核をなす3. は、良すぎてもう何も言うことはありません。
サビのJohanna♪はどうしても、じょはなはん♪に聞こえてしかたがなかったが、、。
しかし素晴らしい演奏を繰り広げてるメンバーの後方では、宙釣りされた人が空中を左右に飛ばされている。
いかん、面白すぎる、曲がシビアになればなるほど、やけに気になってしまう。
コンサートもテーマパークの中のアトラクションのひとつで、しっかり娯楽として成立しているところがやっぱりアメリカということだろうか、、。
昨日Ventura公演の宣伝がラジオから流れていたが、その時にバックでかかっていた8.も今日は演奏されたし、The Bandのアレンジを意識した10.はサビの部分のコーラスが御大とのかけあいになっており、涙、涙のハイライトとなりました。
11.で披露されたハーモニカはもうハープ奏者を超越しており、吹きながら手をひらひらさせたり、いきなりひざまづいたり、ヨチヨチ歩きしたり、動きのひとつひとつが芸である歌舞伎役者のように我々を楽しませてくれた。
(もちろん顔はマジである。)
今回観た3公演は一つのショーの中に泣き笑いを含めいろんな出来事が凝縮されており、正に人生劇場を見ているかのようだった。
ディランのボーカルは以前より、素晴しい低音がより多用され、そのことによって高音が非常に効果的になり、1曲の中にもいろんなドラマが繰り広げられていた。
そして、それを引き出すNever Ending Tour Bandはやっぱり偉い。
それにしても毎日変わる曲をいつ練習しているのだろうか?やっぱり、リハかな、、。
コンサート終了後深夜12時近くになっていたと思うが、帰る途中車からテーマパークをふと見たらまだ逆バンジーをしている人がいた。
とにかく、近年観たショーの中では最高の3公演だった。
夏の日差しをあびる度に、この夏の日の事をきっと思い出すことだろう。
最後に過酷な車の運転をずっとしてくれたN氏にこの場をかりて感謝、そしてヘッケルさんどうもありがとうございました。
△このページTOPに戻る
Reportの目次に戻る
|